逃走中で感じた地域の形

昨年、クリスマスイブに逃走中・風のイベントをした。動画リンクを貼っておくので、よろしければご覧ください。

そんな逃走中で、地域の形を感じることがあった。この逃走中、逃走者、ハンター、ボランティアスタッフに分け募集をかけたところ、最終的には、逃走者は小学生、ハンターは中学生、運営を高校生と大人が行うということとなった。小学生と大人の行事やイベントはよく見るが、いろんな世代が混ざり合うイベントは案外少ないのではないか、と思う。それぞれの世代の強みと、それが混ざり合うことで生まれる相乗効果をとても感じたイベントであった。地域に住む各年代がつながりあっていくという視点で見たとき、逃走中における各世代の役割を僕は次のように感じた。

 小学生・・・とにかく無邪気に遊ぶ。もちろん年齢差は大きく、高学年はミッションを中心となってクリアしたり、低学年に声掛けをしたり譲ったりということが多くあった。登校班や給食準備等、普段から小学校の中で縦のつながりをかなり意識させているのだろう、と先生方の指導を感じた。全学年で共通するのは、逃走中のストーリーの中に入り込むことだ。今回は「ハンターに連れ去られたサンタさんを助け出そう!」をイベントのストーリー軸にしたが、サンタさんが連れ去られたり、逃走に成功にしたりすると、小学生はしっかり喜怒哀楽を表現する。それが単なる中学校のグラウンドで、知っているお兄ちゃん、お姉ちゃんが演じてくれているとわかっていても、非常に素直にストーリーに入り込む。だからそんな小学生の様子がうれしくて、中学生、高校生、大人が頑張る。行事の中心であり、盛り上げ役は小学生だ。

 中学生・高校生・・・年齢が近い中学生は小学生に遠慮をしない。いや、もちろん、低学年に対してゆっくり追いかけてあげたり、ゲームバランスを考えてくれたりはしている。けど、良い意味で本気の着火点が低い。やはり彼らも燃えるし、小学生からしても相手が中学生だと本気で逃げられる。相手が大人なら「負けても当然、捕まっても仕方ない」という雰囲気がありがちだが、中学生の場合それがない。さらに中学生と高校生のすごさは、気づく力にある。自分たちで仕事を探し、小学生に声をかけてくれる。動画を編集しているとそんな動きをたくさん発見できた。こけた小学生にやさしく声をかける、ミッション終了後に道具を集める、最後まで整地をする、ハンター同士で軽く打合せする。素晴らしい中学生たちだ。高校生になると当日の予定変更や急なお願いにも全力で応えてくれる。より自立し、運営してくれる。中学生よりも大人よりで、自分たちで運営を楽しむことができるので、任せる安心感が非常に大きい。

 大人・・・大人は言わずもがな、まさに足りないところに動いてくれる。準備、受付、ミッションをはじめ最後までイベントがスムーズに進んだのは、常に仕事を探し、臨機応変に対応してくれた大人たちのおかげだ。コップのようなイメージだ。小学生と中学生、高校生と徐々に細かくなっていく氷の粒が入ったコップ、それでも埋まらない隙間を埋めるように大人が流動的に動く。そうやって一つの飲み物が完成していく。

イベントだけでなく、地域における日常においてもそういうつながりがあるべきだと思う。「中学生になると、急に地域からいなくなる」とよく言われるが、イベントはそういう中学生を地域に“呼び戻す”一つの方法であろう。また、今回のイベントには幼児やお年寄りは入っていない。より幅広い年代が参加できるイベントを考えたい。それぞれの役割が融合することで魅力が高まることを実感した。

活気あるイベントを作ってくれてありがとうございました。

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